「公務員」とされる職業の方々は、規定によって「副業」が原則禁止とされています。
「公務員って不動産投資できるの?副業にあたらないの?」
公務員の方であれば、誰もがまず疑問に思うところではないでしょうか。
結論からいうと、「公務員」でももちろん不動産投資を始めることはできます。
むしろ「公務員」だからこそ不動産投資で有利に働く面がありますので、公務員が行う資産形成の手段としておすすめの投資です。
ただし、公務員の不動産投資には注意する点も多くあります。
今回この記事では、
- 公務員の副業規定と不動産投資について
- 公務員が行う不動産投資のメリット
- 公務員が不動産投資を行う上で注意しておくこと
「公務員」が行う不動産投資についてまとめてみました。
「不動産投資」を考える公務員であれば、必ず知っておいてほしい内容になります。
ぜひ一読ください。
1.公務員はそもそも不動産投資できるのか?
公務員は原則として副業は禁止されています。
これは公務員は国や自治体のお仕事であり、国民・市民の信用を損なうようなことを行ってはいけないという大原則に基づきます。
「すべての職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」
国家公務員法第96条及び地方公務員法第30条より引用
このように公務員には「職務専念義務」があり、副業などで本来の職務を疎かにしてはいけないということは前提として覚えておいてください。
では、不動産投資は本来の職務を疎かにするような副業になるのでしょうか。
1-1.不動産投資は公務員で規定される「副業」にはあたらない
一般的に不動産投資は副業にはあたらないとされています。
なぜなら物件を取得するのは、なにも「投資」に限ったことではないからです。
- 収益アパートを親から相続した
- 転勤することになったので、その間に自宅を有効活用するために賃貸に出した
上記のように、本人が意図せずに物件のオーナーとなってしまうケースも当然考えられます。
もしこれらすべてを「副業」とするならば、仕事を辞めるか不動産を手放さないといけなくなってしまいますので、とても現実的ではありません。
1-2.公務員は一定の条件をすべて満たせば不動産投資ができる
ただし不動産投資が「副業」には当たらないといっても、公務員の「職務専念義務」は当然守らないといけません。
いくら個人的な資産運用でも、その資産運用が原因で職務に影響があってはならないのです。
そこで公務員は「一定の条件」をすべて満たした上で不動産投資を行わなければならないとされています。
不動産投資が副業にあたらない条件
不動産投資が副業にあたらないとされるには以下の条件をすべて満たす必要があります。
【条件1】事業的な規模(5棟10室以上)でないこと
不動産投資が事業的な規模かどうかを判断するのに「5棟10室」という基準があります。
不動産投資が副業とみなされないためには、この「5棟10室」という規模を越えてはいけません。
具体的には、
- 一戸建てや一棟アパートなどの独立家屋は5棟以上
- 区分マンションなどの独立区画は10室以上
- 土地の賃貸は、賃貸契約数が10件以上
上記のどれかひとつでも満たせば、その不動産投資は「事業的規模」と判断されます。
また5棟10室未満であっても以下の場合は事業とみなされるので注意してください。
- 娯楽のための設備(映画、ゴルフ場など)がある不動産
- 旅館やホテルなど特定の業務に使用される不動産
なお、「駐車場の賃貸」の場合は以下の条件をひとつでも満たすと「事業的規模」と判断されます。
- 駐車する車が10台以上
- 建築物である駐車場または機械設備がある駐車場
【条件2】年間の家賃収入が500万円未満であること
年間の家賃収入は500万円を超えてはいけません。
超えるようであれば、申請・許可が必要になりますので、注意してください。
たとえば家賃10万円のマンションを5室保有していると、
この場合、年間家賃が500万円を超えてしまっているので、たとえ前述の「5棟10室未満」という基準がクリアできていたとしても、副業とみなされることになります。
【条件3】自分で管理しないこと
不動産の管理は自分で行わず、すべて委託してください。
不動産の管理は思っている以上に大変です。
入居者からの要望やクレーム、業者からの連絡など、内容によってはすぐに対応しなければならない上に職務中にいつ連絡が入ってもおかしくありません。
管理を自分で行っていると、職務中に副業をしているとみなされてしまうので、気を付けてください。
1-3.副業になってしまう場合は許可がおりればOK
仮に不動産投資が基準を超える規模になったとしても、申請をして許可を得ることができれば、認めてもらえる可能性があります。
申請するときは申請書に加えて、以下のような書類が必要になります。
- 物件概要書
- 貸借条件一覧表(レントロール)
- 物件の管理委託契約書
不動産投資が「副業にあたらない条件」から外れてしまうかもしれない場合は申請方法を事前に確認しておきましょう。
ただし、許可を得るには相続などの相当な理由がない限り厳しいと思っておいたほうがよいかもしれません。
公務員はやはり職務に専念することが何よりもまず優先です。
公務員として働き続けた上でもっと大きく儲けたいと思うのであれば、家族名義にするか法人を立てるかなどの自分以外の名義で行う工夫が必要になります。
2.勤め先に不動産投資がバレないようにするには?
公務員は不動産投資ができるといっても、やはり勤め先に知られたくないという人は多いと思います。
バレないようにするためのポイントは主に3つです。
①周囲に話さない
不動産投資をしていることが勤め先にバレてしまう原因に多いのが、実は「周囲からのタレコミ(密告)」です。
FacebookやTwitterなどのSNSからバレてしまったという人もおられるようです。
投資で稼ぐと、ついつい気持ちが大きくなって誰かに話したくなりがちですが、我慢しましょう。
たとえ仲が良い同僚であっても、いつどこでだれが聞いているかもわかりません。
周りに知られることで「仕事に集中していない」などのいわれのない誤解や妬みを受けてしまう可能性があります。
不動産投資をしていることを周囲に話すのは極力避けたほうがよいでしょう。
②確定申告をする
バレる原因にもうひとつ多いのが、住民税の徴収額からです。
不動産投資による副収入があった場合、給料と副収入をあわせた住民税が給与から天引きされることになりますので、勤め先に副収入があることを知られてしまう可能性があります。
住民税からバレないようにするためには、「確定申告」で住民税の支払い方法を「給与から天引き(特別徴収)」ではなく「自分で納付(普通徴収)」に選択する必要があります。
※国税庁:確定申告書A様式 第二表
いずれにしても不動産投資をはじめると、確定申告は必須となりますので、ぜひ覚えておきましょう。
③自分名義で行わない
不動産の名義が自分でなければバレる心配はありませんし、公務員の副業規定にも縛られることはありません。
方法としては親や配偶者などの身内の名義で行う方法や法人を設立するといった方法が考えられます。
ただし、身内の名義で行う場合は、名義人の協力は必須になります。
3.公務員が副業として行う不動産投資の2大メリット
公務員が副業として行う不動産投資には大きなメリットが2つあります。
メリット1. 金融機関からの信用が高いので、融資を受けやすい
公務員は民間企業のサラリーマンと違って、リストラされる恐れが極端に少ないです。
公務員としての安定した「収入」と「雇用」が金融機関から「信用できる貸出先」として非常に高く評価されているため、融資を受けやすいという大きなメリットがあります。
不動産投資は基本的に金融機関から資金をいかに調達できるかが最大のネックになります。
物件は安いものでも数百万円~数千万円と高額です。
どれだけ良い物件を見つけても、融資が受けられずに結局あきらめてしまう人がたくさんいる中で、公務員としての「信用力」は大きな強みといえるでしょう。
メリット2. 手間がかからないので、本業に集中できる
不動産投資は管理会社に管理を委託すれば、基本的にオーナーがすることはありません。
強いて言えば、不動産オーナーとしての「判断」「決断」のみです。
公務員の副業には不動産投資のほかに「株」や「FX」などの投資商品もあります。
株・FXなどももちろん副業にはあたりませんが、相場の値動きが気になって職務に集中できないとなれば問題になる可能性があります。
その点、不動産投資は「家賃」という固定収入です。
相場のように1日単位で変動するといったことはまずありえませんので、値動きが気になるといったこともなく、本来の職務に集中することができます。
3.公務員が不動産投資を行う上で注意しておきたい点
公務員の不動産投資は大きなメリットがありますが、注意しておくべき点もあります。
不動産投資をはじめる前に念頭に置いておきましょう。
3-1. 地方公務員は副業規定を要チェック!
地方公務員は副業に関して独自に規定されている場合があるので、チェックしておきましょう。
自治体によっては、規模にかかわらず許可が必要となるケースもあるようです。
一方で、最近の「働き方改革の一環」として、副業を認める自治体も出てきています。
兵庫の神戸市や奈良の生駒市では、許可があれば勤務時間外に限っての副業を可能としているそうです。
ですので、地方公務員の方は不動産投資をはじめる際には、あらかじめ所属する自治体のルールを確認することが大切です。
3-2. 安易に仕事はやめない!
不動産投資で収入が入ってくるからといって、安易な気持ちで仕事を辞めては危険です。
家賃収入だけで本当に安定して食べていくようになるには、それこそ何億円という規模まで不動産投資を拡大しなければいけません。
そのため、金融機関からの融資は欠かせないのです。
金融機関は社会的に安定している「公務員」だからこそ積極的に融資してくれていることを忘れてはいけません。
将来的にリタイヤを考えているのであれば、決して安易に仕事を辞めず、副業で不動産投資の規模をリタイヤできるレベルまで出来る限り拡大していくことが理想です。
3-3. 融資を受けやすい分、悪質な業者には注意!
「公務員」は融資が受けやすい分、悪い物件を掴みやすくもあるので、不動産業者の見極めには十分注意する必要があります。
公務員は金融機関から融資を受けやすいため、物件の購入でつまづくことは少ないです。
しかし逆を言えば、お金を借りすぎて破綻するなどの「融資リスク」が他の人と比べて高いのです。
悪質な業者からいきなり融資可能な枠限界の高額物件を売りつけられて、自分の許容を超える損失を出して失敗したケースもあります。
業者の口車についつい乗せられて闇雲に物件を買ってしまわないよう注意しましょう。
まとめ
公務員の不動産投資について解説しました。
公務員は「職務専念義務」が法律で明確化されていますので、
- 規模は5棟10室未満
- 家賃収入は500万円未満
- 自分で管理をしない
上記3つの条件をすべて満たして、職務に専念できるようにしなければなりません。
ただし、公務員は金融機関からの信用が非常に高く、不動産投資を有利にすすめることができるという大きなメリットもあります。
もし不動産投資に興味があるという公務員の方は、記事の内容に十分留意してから検討してみてください。
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