先進諸国と比べて、経済成長が著しい東南アジアの不動産投資に興味を持ったことはありませんか?
経済発展途上国の不動産投資では、安いうちに買っておいて、開発が進み評価額が上がる頃に売却することで大きなリターンが期待できます。
短期間で上昇が見込める海外不動産投資は、夢がありますよね。
今回は、これから海外不動産を始めてみたいと思っている方向けに、東南アジア不動産のメリットとデメリットを執筆します。
また、いくつかのデメリットやリスクがあると分かったうえでも、筆者が投資しようと魅力を感じたポイントもお伝えします。
海外のことでよくわからないため、不動産投資詐欺や、不適切な説明で営業している不動産業者が存在します。
よく調べずに海外不動産投資を始めて失敗しないように、最低限の基礎知識を知りましょう。
この記事を読み終えたころには、東南アジアの不動産投資についての基礎が理解されていると思います。
1.東南アジア不動産投資の魅力(メリット)
- 短期で高いリターンが狙える
- 1,000万円台から不動産投資を始められる
- プレビルドと海外ローンにより効率よく投資できる
①短期で高いリターンが狙える
経済成長が著しい東南アジア諸国への不動産投資が注目される理由は、「キャピタルゲイン(譲渡益)」を狙えることでしょう。
日本国内での不動産投資と言えば、ワンルームマンション投資やアパート経営などを想像すると思います。
毎月のローン(支出)と賃料(収入)の差益が毎月の利益となるインカムゲインを得ることはできますが、売却する際の大きな利益を狙うことは困難です。
今の日本では、残念ながら、キャピタルゲインを狙った不動産投資はできません。
売り急ぎ物件や特殊なケースを除き、一般人が譲渡益で稼ぐというのは不可能に近いです。
ところが、東南アジア諸国への不動産投資では可能です。
東南アジアでは、「経済成長」と「人口増加」という魅力があるため、経済成長に伴い物価は上昇傾向にあり、不動産価格も上昇しています。
急激に経済が成長している国では、インフレとともに不動産価格も右肩上がりに上昇する傾向があります。
―インフレとは―
経済成長率の高い国では、モノの取引が活発に行われるため、モノの値段が上昇します。モノの値段の代表である不動産の評価額も、インフレにより上昇します。
経済成長率UP + インフレ = 不動産転売が有利!
インフレになれば、不動産は転売すると売却益が膨らみます。
東南アジアなどの新興国は、かつての戦後の日本のように、目覚ましい都市開発が行われているため、インフレにより不動産価値も大きく上昇する可能性があります。
東南アジア諸国への不動産を購入し、数年後に売却することで、短期での値上がりによる大きなリターンが期待できます。
人口増加による住宅需要が高く、そして発展途上国の開発には、先進諸国や大手企業も参入しているため、海外からも人が集まるので、駐在者用としても、不動産需要があります。
東南アジア不動産で、特に注目されている国は、タイ、マレーシア、フィリピン、カンボジア、ベトナムなどです。
②1,000万円台から不動産投資を始められる!?
日本の都心部でのワンルームマンション投資の場合、2500万円前後が目安ですが、東南アジアの不動産では、1000万円前後で購入できる物件が多数あります。
好立地の新築不動産であっても、少ない元手資金で不動産投資をできることは大きな魅力です。
東南アジアの不動産投資では、プールやジム付きのコンドミニアムが1000万円代から購入できるかもしれません。
③プレビルドと海外ローンにより効率よく投資できる
プレビルト方式により値上がり前の建築段階の物件を購入し、完成までに売却することで、効率よく売却益を得ることができます。
完成前なら、全額を支払うことなく、取引を終えることができます。
また、万が一、物件が完成せずに手に入らない場合には、借金を残さず終了させることができます。
詳細は、また別の記事で解説しますが、今回は、基本的な特徴をお伝えします。
■プレビルド方式とは
東南アジア不動産投資では、建設工事完了前に購入する「プレビルド方式」という販売方法があります。
建築前や建築初期に安く購入し、完成に向けて販売価格が上昇するため、建築工事完了後に高く売ります。
完成までに高く売り抜けることができればより効率よくキャピタルゲインを狙えます!
プレビルドは、フィリピンやタイなどのコンドミニアム建設などで、主流の販売手法なのです。
■海外のローンの特徴
海外のローンと日本のローンは特徴が異なります。
海外のローンのメリットは、不動産購入のための資金準備にかける時間を軽減することができます!
建設工事完了前に購入する「プレビルド方式」の場合、物件完成までに物件価格の2割を支払い、完成後に残りの8割を支払うことになります。
初めに準備する資金が少ないので、早期に不動産投資に参入できるところが東南アジアの不動産のメリットです。
例えば、1000万円のコンドミニアムの場合、200万円を契約時に支払い、物件完成後に800万円の残債を支払います。
購入後、建物完成までに不動産の評価額が上がっていることが多いので、完成を待たずに売却すると短期間で譲渡益を得ることができます。
つまり、「建設工事完了前に購入し、建設工事完了までに売却」というシンプルな投資方法です。
5年以内に数十万、数百万円の利益を得ることができる可能性があり、夢が膨らみますね。
「万が一、建物が完成しなかったらどうなるんだろう」と不安になることもありますよね。
海外の建設会社は納期通りに完成しないことが多く、信頼度の低いデベロッパーの場合、最悪の場合は完成しないケースもあります。
その場合に、借金だけが残って、ローンの残債を全額請求されるという心配はありません。
不動産の所有権を放棄することで、ローンの残債が無くなります。
日本のローンとはシステムが異なり借金だけが残ることはないので安心です。
ここまで、東南アジア不動産投資のメリットをお伝えしましたが、良い面もあれば、悪い面もあります。
プラス面だけを見て、マイナス面から目をそらさずに、デメリットも把握しておく必要があります。
良い面 | 悪い面 |
キャピタルゲインが期待できる 相対的に物件価格が安い 短期転売では海外ローンのメリット |
⇔ インカムゲンが期待できない ⇔ 安すぎる物件には難点あり ⇔ 建築後は、海外ローンの金利高が重荷 |
2.東南アジア不動産のデメリット
- インカムゲイン(賃貸経営)は期待できない
- 海外不動産投資では、融資を受けることが難しい
- プレビルドのリスク
- 安すぎる物件には要注意!
- 為替変動リスクがある
- 自然災害リスク
- 情報入手が困難!カントリーリスクが高い
①インカムゲイン(賃貸経営)は期待できない
東南アジアの不動産投資では、建設前の物件を購入し、完成までに売却するというキャピタルゲインを目的とする投資が主流です。
日本での不動産投資の場合は、ローン金利が安いので、投資物件を購入し不動産投資ローンなどを組み、毎月のローン支払額よりも高い家賃を設定し、その差額を毎月の収入にするインカムゲイン目的の投資が一般的ですよね。
しかし東南アジアへの海外不動産投資では、インカムゲイン目的の投資は不向きと言われています。
その大きな理由は2つあります。
1つ目の理由は、ローン金利が高いこと。
日本のローンは低いですが、海外では、8%前後の金利がかかることもあり、金利分を上乗せすると、家賃が高額になり、借り手が限定されてしまいます。
経済成長により、都市部に人が集まり、インフレにより不動産価格が上昇すると、賃料も上がります。
しかし、少々賃料があがったところで、金利の高さを考慮すると利幅はかなり少なくなってしまい物足りません。
そこに管理会社への管理費用、固定資産税などの税金を考慮すると、手元にはほとんど残りません。
利益のほとんどが銀行への利子払いで消えてしまいます。
例)フィリピンの海外不動産投資の場合
- ローン金利:8%前後
- 固定資産税:物件価格の1~2%
- 火災保険料:物件価格の0.4%
- 特別教育基金:物件価格の1%
国によって、税金やローンのルールは異なりますが、一般的に日本よりコストがかかると考えておきましょう。
さらに、滞納リスクもありますし、稼ぐつもりが損失になってしまうケースもあり得ます。
賃貸に出して、家賃収入で儲けたいと考る場合は、損失を覚悟しなければなりません。
もしも、「海外不動産を買って、家賃収入で稼ぎましょう!」と言う営業マンがいたら、疑った方が良いでしょう。
2つ目の理由は、不動産の管理が日本より難しいためです。
家賃の滞納リスク、劣化による修繕など、日本国内では考えられないようなトラブルが発生する可能性があります。
一般的に、新興国で建設する建物は、日本より劣化が早いので、修繕などに費用が嵩みます。
現地の管理会社が迅速に動いてくれない(レスポンスが遅い、報告があいまいなど対応がずさんなケースが多い)など、悩みの種が増えるかもしれません。
信頼できる管理会社に依頼できれば良いのですが、期待を裏切られることも多く、トラブルが絶えないようです。
不動産投資家の中には、管理会社を介さずに自主管理する人もいますが、初心者には困難です。
管理会社と信頼関係を築くためには、物件完成後も定期的に物件を見に行くことも検討しておくことをおすすめします。
管理会社と密にコミュニケーションを取り、現地の状況を把握しておくことが重要です。
②海外不動産投資では、融資を受けることが難しい
物件完成後は、残金を一括支払いすることになります。
その際、ローンを組むことがおおいですが、現地のローンを組むか、日本でローンを組むか選択することができます。
現地の銀行を利用して融資を受ける場合のローン金利は、かなり高いということは、既に記載しましたが、金利以外の条件もかなり厳しいです。
海外不動産投資を始めるときに大きな障壁となるのが、どの金融機関から融資(ローン)を受けるかという問題です。
海外不動産投資では、海外の金融機関と日本の金融機関のどちらでローンを組むか選ぶことができます。
- 国内の金融機関の海外不動産投資ローンまたはフリーローン
- 海外の金融機関のローン
国内の金融機関の海外不動産投資ローン
海外不動産投資に融資している日本国内の金融機関がありますが、審査は厳しいです。
審査が厳しいうえに、融資条件(高金利・返済期間・貸付金額)も厳しいです。
日本の不動産投資をする際の融資条件に比べて、金利が高く、返済期間が短く、貸付金額は低い傾向があります。
例) オリックス銀行・東京スター銀行・日本政策金融公庫など
国内の金融機関の資金使途が特定されないフリーローンを利用する場合も、審査・融資条件ともに厳しいです。
海外の金融機関のローン
外の金融機関のローンを組むと、金利が高いので赤字になる可能性があります。
できれば現金で決済した方が良いと思われます。
いづれの場合も、融資の条件が非常に厳しいので、ローン審査を受ける場合は、海外不動産専門の業者に事前に相談しましょう。
海外不動産の仲介会社の中には、金融機関に特別なコネクションをもっているケースもあります。
③プレビルドのリスク
物件完成前に購入するということは、様々なリスクを伴います。
下記のリスクを想定しておく必要があります。
- 物件の竣工遅れ(納期遅れが普通)
- デベロッパーの倒産などを理由に、物件が完成しない
- 想定どおりに評価額が上昇しない
- 需要の低いエリアや割高物件を購入してしまい売却できない
リスクを軽減するためには、デベロッパーの選定や購入前の現地の情報収集や視察が必須です。
その為には、まずは信頼できる東南アジアに精通した海外不動産仲介会社を見つけることが、一番重要です。
④安すぎる物件には要注意!
「東南アジア不動産投資は、数百万円から始められるって聞いたけど?」
思っていたより、不動産価格が「高い」と感じる人もいるのではないでしょうか。
数年前は、数百万円で購入できた東南アジア物件も、既に価格上昇しています。
不動産投資をするなら、人口が集中している都市部がおすすめです。
空港や鉄道などインフラ設備が整えば、評価が上がります。
都市開発を行う海外企業の駐在者も集まり、不動産需要も高まります。
開発途中の都市部の不動産価格は、すでに上昇していますが、この先も上昇の余地はあると思われます。
また、次の開発エリアを予想して先行投資するのも面白いかもしれません。
新興国への不動産投資は、日本以外の国ももちろん行っており、特に中国が爆買いしている地域は暴騰しています。
そのため、ベイエリアなど既に値上がりしているエリアが多く、良い場所や良い物件は、高くなっています。
数年前でしたら、数百万円でも良い物件を購入できたかもしれませんが、今の1000万円未満の物件の場合は、需要が低かったり、建築施工が緩かったりと購入後の出口戦略に悩まされる可能性がありそうです。
安かろう悪かろうという言葉があるように、安い物件には何か理由があると考えて、その理由を確認しましょう。
また、暴騰しすぎた物件に飛びつくのも避けるべきです。
高額物件を購入できる人は少ないので、転売先が限定されてしまいます。
⑤為替変動リスクがある
海外への投資をする場合は、為替リスクが存在します。
東南アジアの不動産への投資の場合、投資国の通貨で購入することになります。
海外の株や債券と同様に、不動産を購入する場合にも、物件購入時期によっては、為替変動による為替損が発生する場合もあります。
新興国の通貨は信用が低く、通貨によっては荒い値動きをする特徴があります。
取引金額が大きい不動産投資では、マイナスに働いた場合の損失によるダメージは甚大です。
資産の一部を海外に移してリスク分散を図ること(資産分散)を検討することは良いことですが、新興国通貨の場合、大きなリスクも伴います。
逆の動きをすれば、為替変動がプラスに働くため、一概にデメリットとは言えませんがリスクの1つとして想定しておきましょう。
⑥自然災害リスク
日本で不動産投資をする上で避けられないリスクとして、地震や台風といった自然災害があります。
海外でも、同様に自然災害リスクがあります。
東南アジア諸国の場合、地震や津波による被害が考えられます。
日本に比べて建築物の耐震強度などが低いので、大きな災害では倒壊や大規模修繕のリスクがあります。
また、リーマンショックやコロナショックのような想定外の景気後退が起こった場合、不動産価格は大きな影響を受けるでしょう。
⑦情報入手が困難!カントリーリスクが高い
海外不動産投資は「情報が取得しづらい」というデメリットがあります。
地元の商慣習や現地の情報など、入手することが難しいので、信頼できる不動産会社を見つけることがなにより重要です。
また、東南アジア諸国では、政治が不安定な国もあり、治安が悪いことが多いです。
政策や税制が目まぐるしく変わります。
海外の不動産に投資をする場合、常に情勢を確認し、海外の税制や商習慣を学ぶことを心がけましょう。
まとめ
今回の記事では、東南アジアの不動産投資について執筆しました。
東南アジア不動産投資を始める前に、知っておくべきメリット・デメリットはご理解頂けましたでしょうか。
デメリットの方が、厚い内容になってしまい申し訳ありません。
本気で投資を考えた時に、あらゆるリスクを想定した方が堅実な投資をできるため、あえて厳しい面を詳しくまとめました。
しかし、様々なリスクを加味したうえで、尚、筆者は東南アジアの不動産を買いたいと考えています。
東南アジアへの不動産投資に惹かれて病まない理由は下記の3つです。
- 東南アジア不動産投資では経済発展による値上がり益が期待できる
- 評価額が上がらなかった場合は、移住を視野に入れている
- 信頼できる不動産会社に依頼出来れば、リスクを最小限に抑えられる
具体的な投資先もある程度選定しています。
東南アジアの不動産投資を検討する際、様々な国があり迷ってしまう方もいると思いますが、アジア全体が大きな発展を見せているといっても、国によって違った特徴があり、投資先におすすめできる国は限定されます。
既に成熟期を迎えていたり、発展にはまだまだ時間がかかりそうな国を選ぶと、短期間で利益を出すのは厳しいと思われます。
「東南アジア不動産投資で筆者がおすすめしたい国」については以下の記事を参考ください。
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