不動産投資のキャッシュフロー|計算方法から増やす方法・注意点を解説

不動産投資

不動産投資では企業経営と同じく「キャッシュフロー」という言葉が頻繁に使われます。

キャッシュフローとは「現金の流れ(Cash Flow)」を意味しますが、早い話が「現金収支」のことです。

収入 ー 支出 = キャッシュフロー

キャッシュフローがプラスということは、「現金が増えた」ということです。

逆にキャッシュフローがマイナスということは、「現金の持ち出し」が発生している状態になります。

「キャッシュフロー」は企業活動において非常に重要です。

なぜなら企業が倒産するときというのは、「赤字」ではなく「現金資金が足りなくなったとき」だからです。

持ち出しがずっと続けば、やがて資金は枯渇し、企業は「倒産」してしまいます。

ですので、企業が事業を継続していくためには「キャッシュフロー」を把握しておくことが非常に重要なのです。

これは不動産投資にも同じことがいえます。

不動産投資は「投資」と名はついていますが、本質は「事業」です。

金融機関からお金を借りて資金調達し、物件を仕入れて、賃貸・管理で売上をあげて、最終的に得られた利益を再投資して事業を拡大していく。

細かい違いはあれど、不動産オーナーは会社の経営者と同じなのです。

なので、不動産投資においても事業を継続していくためには「キャッシュフロー」が重要なのです。

今回この記事では、「不動産投資におけるキャッシュフローとは?」その計算方法から増やす方法注意点まで解説していきます。

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1. 不動産投資におけるキャッシュフローは2つ

不動産投資におけるキャッシュフローは企業で使われるような複雑なものではなく、単純に「収入から支出を差し引いた儲け」のことをいいます。

キャッシュフローは主に税金を考慮するかしないかで分けられます。

  • 税引き前キャッシュフロー
  • 税引き後キャッシュフロー

1-1. 税引き前キャッシュフロー

【計算式】

家賃収入 ー 必要経費(固定費) ー ローン返済

単純に「キャッシュフロー」という場合は、この『税引前キャッシュフロー』を指すことがほとんどです。

家賃収入はまるごとオーナーの収入になるわけではありません。

不動産は保有しているだけで様々な必要経費がかかるからです。

不動産投資にかかる経費

  • 管理委託手数料(管理を委託する場合)
  • 修繕費(原状回復費や設備交換費など)
  • 租税公課(固定資産税など)
  • 管理費、修繕積立金(区分の場合)
  • 清掃代、消防点検費(一棟の場合)
  • 共用部の光熱費(一棟の場合)
  • 損害保険料
  • 広告宣伝費(仲介業者への報酬)

…など

ですが、キャッシュフローの計算には、必要経費のうち「修繕費」や「広告宣伝費などはいつ費用が発生するのかは予測がむずかしいため、必ず発生する「固定費」のみを使うのが基本です。

管理委託手数料」「租税公課」「損害保険料」、区分であれば「管理費、修繕積立金」、一棟であれば「清掃代、消防点検費」「共用部の光熱費」などが固定費にあたります。

これは収入についても同じです。

「家賃」だけでなく「礼金」や「更新料」などもオーナーの収入となりますが、発生を予測しづらいため、収入は「家賃」のみを使います。

得られた「家賃収入」から、得るために必要な「固定費」を差し引き、さらに融資を利用していれば、「ローンの返済金」も差し引き、手残り収入となるキャッシュフローを計算します。

その不動産から得られる純粋な利益を計算したのが「税引き前キャッシュフロー」です。

1-2. 税引後キャッシュフロー

【計算式】

家賃収入 ー 必要経費 ー ローン返済 ー 税金

税引前キャッシュフローからさらに税金を差し引いたのが「税引き後キャッシュフロー」です。

収入には税金が課されますので、「税引き後キャッシュフロー」こそが本当の意味での純粋な手残り収入といえます。

ここでいう税金とは収入を得ることによって課税される「所得税」「住民税」を指します。

なので、税引き後キャッシュフローの金額は個人の所得に応じて変わってきます。

所得税は分離して課税される所得(分離課税)を除いた所得すべてを合算した金額に対して課税されます(総合課税)。

以下が所得に応じた所得税率の早見表となります。

住民税に関しては細かい計算はありますが、おおむね10%で計算します。

※年間の不動産所得が100万円だったサラリーマンの場合

例1. 会社からの給料(給与所得)が年500万円の人

■課税所得金額

500万円(給与所得)+ 100万円(不動産所得)= 600万円

■所得税率

早見表より所得税率は20% 

■住民税率

10% 

■不動産投資による税金

100万円 ×(20% + 10%)= 30万円

例2. 会社からの給料(給与所得)が年1,000万円の人

【課税所得金額】

1,000万円(給与所得)+ 100万円(不動産所得) = 1,100万円

【所得税率】

早見表より所得税率は33% 

【住民税率】

10%

【不動産投資による税金】

100万円 × 43% = 43万円

このように個人の所得額によって税率が変わりますので、計算の際は注意しましょう。

1-3.「不動産所得=キャッシュフロー」ではないので要注意

税引き後キャッシュフローを計算する上で必要な不動産所得の金額は「帳簿上の利益」であり、実際のキャッシュフローとは違うことに注意してください。

たとえば以下の表を見てください。

キャッシュフロー 不動産所得
家賃収入 +100万円 家賃収入 +100万円
必要経費 20万円 必要経費 -20万円
ローン返済

(元金+利息)

-50万円 ローン返済

(利息のみ)

-25万円
減価償却費 -30万円
+30万円 +25万円

キャッシュフローと不動産所得の金額が違うのがわかると思います。

なぜ変わるのか、以下2つがポイントです。

  • 不動産所得「ローン返済の元金部分は経費にならない」
  • 不動産所得「減価償却費を経費として計上できる」

基本的に不動産所得は【減価償却費】という大きな経費の存在によって、

キャッシュフロー > 不動産所得

となることが多いです。

この金額の差を利用したのが「不動産投資における節税の仕組み」となっています。

一方で、減価償却費が計上できなくなったり、ローンの元金返済が増えたりで、これが逆転する場合もあります。

キャッシュフロー < 不動産所得

この場合、実際の収入より多くの税金が課税されてしまう、いわゆる「デットクロス」の状態となります。

キャッシュフローと不動産所得の金額は違うことを覚えておきましょう。

2. 物件購入時はリスクも考慮してキャッシュフローを計算する

物件の購入を検討する際、物件資料をもとにキャッシュフローを計算していくことが多いかと思います。

しかし、これはあくまでその時点での数字でしかなく、10年後20年後ずっとこのキャッシュフローが続くわけではありません。

投資である以上、起こり得るリスクを事前に考慮した上でキャッシュフローを計算することが望ましいでしょう。

必ず考慮すべき点としては以下の2つです。

2-1. 家賃は相場家賃を使う

中古物件の場合、オーナーチェンジ物件であることが多いです。

現在入居中の家賃が周辺の相場家賃とかけ離れているケースもありますので、必ず周辺の相場家賃を調べた上でキャッシュフローを計算しましょう。

2-2. 空室による収入減

常に100%満室であることはまずないと考えましょう。

いずれは入居者が退去し、家賃収入が途切れる時がきますので、空室によって収入が減ってしまうリスクを考慮すべきです。

空室による収入減の計算に「入居率」を使うか「稼働率」使うかは人それぞれです。

入居率であれば、「年間90%ぐらい」などざっくりと予測し、それを想定家賃に乗じます。

家賃 × 入居率 = 想定家賃

年間の稼働率は以下の式で計算します。

※1部屋単位の場合(区分マンションなど)

【稼働率】

入居月数 ÷ 所有月数  × 100

例)1年(12ヶ月)のうち1ヶ月が空室になる想定の場合

11ヶ月 ÷ 12ヶ月 = 91.6%

※一棟単位の場合(アパートなど)

アパートなどの複数の部屋を所有する一棟物件の稼働率を計算する場合、1部屋ごとの稼働率をそれぞれ計算して平均をとることで算出できますが、以下の計算の方がわかりやすいでしょう。

稼働率

部屋ごとの入居月数の合計 ÷(部屋数×所有月数)× 100

例)1年間で9部屋中7部屋は満室稼働。残り2部屋が3か月空室になる想定の場合

部屋ごとの入居月数の合計は、

7部屋×12ヶ月 + 2部屋×9ヵ月 = 102ヶ月

102ヶ月 ÷108ヶ月 × 100 = 94.4%

2-3. 実践的なキャッシュフローの計算方法

より実践的なキャッシュフローの計算として、以下の区分ワンルームマンションを例にあげてみましょう。

例)ワンルームマンション【A】

ワンルームマンション【A】の収支は以下とします。

収入 家賃 70,000円
支出 管理委託手数料 3,000円
管理費・修繕積立金 10,200円
固定資産税・都市計画税 4,200円
ローン返済 39,420円

ワンルームマンション【A】の税引前キャッシュフロー

このワンルームマンションのキャッシュフローを計算してみます。

※月間キャッシュフロー

70,000円 – 3,000円 – 10,200円 – 4,200円 – 39,420円 = 13,180円

※月間キャッシュフロー(年)

13,180円 × 12ヶ月 = 158,160円

これが今現在の満室時に想定されるキャッシュフローになります。

次に、

  • 周辺エリアの相場家賃は1000円ダウンの69,000円。
  • 部屋は2年に1回、1ヵ月間空室になる(稼働率:23ヶ月/24ヶ月 ≒ 95.8%

と想定して再度計算してみます。

※月間キャッシュフロー

(69,000円× 95.8%) – 3,000円 – 10,200円 -4,200円– 39,420円 = 9,282円

※年間キャッシュフロー

9,282円 × 12ヶ月 = 111,384円

常に満室を想定したキャッシュフローではなく、ある程度のリスクを織り込んでキャッシュフローを計算しておくことが大事です。

ワンルームマンション【A】の税引き後キャッシュフロー

さらにここから税金を計算し、より現実的な手残り収入である「税引き後キャッシュフロー」を予測します。

収入 年間想定家賃 69000円×95.8%×12ヶ月

= 793,224円

支出 年間経費 (3,000円 – 10,200円 – 4,200円)×12ヶ月

= 208,800円

年間ローン返済額
※利息部分のみ
255,264円
減価償却費 288,000円

税引き後キャッシュフローを計算するには、【不動産所得】から【税金額】を求める必要があります。

※不動産所得の計算

家賃収入 – 経費 – ローン返済(利息)- 減価償却費

793,224円 – 208,800円 – 255,264円 – 288,000円 = 41,160円

※税金の計算

所得税率は個人の所得で変わります。

仮に所得の合計が500万円だった場合、所得税率は【20%】です。

不動産投資による税金は、

不動産所得41,160円×(所得税20%+住民税10%) = 12,348円

※税引き後キャッシュフロー

111,384円 – 12,348円 = 99,036円

キャッシュフローは単純に計算するのではなく、ある程度リスクを考慮した上で計算するようにしておきましょう。

3. キャッシュフローを増やす3つの方法

キャッシュフロー(税引前)は、『家賃収入 – 必要経費 – ローン返済』で計算されるとお伝えしました。

つまり、キャッシュフローを増やすためには、

  • 『家賃収入』を増やす
  • 『経費』を減らす
  • 『ローン返済』を減らす

この3つが主な方法となります。

3-1. ローン返済を減らす

キャッシュフローを増やす上でまず重要なのが『ローン』です。

ローンの返済金は支出の中で最も大きくなりやすいからです。

ほとんどの人は物件の購入にローンを利用することになると思います。

ですので、ローンの質はキャッシュフローに直結しますので、キャッシュフローを増やしたいのであれば、まずは「融資の条件」を重点におきましょう。

※融資の「金利」は低いほどキャッシュフローは増える

融資の「金利」が低いほど、キャッシュフローは増えます。

例えば、1000万円の融資で「期間」は35年として、「金利」だけを変えてみると、

金利 1.5% 2.0% 3.0%
毎月返済 30,618円 33,126円 38,485円

このように金利は低ければ、毎月の返済が少なくなります。

※融資の「期間」は長いほどキャッシュフローは増える

融資の「期間」は長いほど、毎月の返済は少なくなります。

例えば、1000万円の融資で「金利」は2%として、期間だけを変えてみると、

返済期間 10年 20年 35年
毎月の返済 92,013円 50,588円 33,126円

毎月のローン返済額が大きく変わっていることがわかると思います

※投資初期はキャッシュフローを重視して、長期でローンを組む

投資初期はキャッシュフローを大きくとって、まずは経営を安定させることが王道になります。

先述した比較をみると、キャッシュフローを大きくする上で重要なのは、融資の「金利」ではなく「期間」です。

なので融資を利用する場合は「長期」でローンを組むことがオススメです。

3-2. 家賃収入を増やす

家賃収入を増やすといっても、「家賃を値上げする」というのは思いのほか難しいです。

法律的には値上げを請求すること自体はできますが、入居者との合意がなければ値上げすることはできません。

基本的に家賃というのは新築時をピークに下落していくものです。

「家賃を値上げする」というのは、それなりの根拠もって地道に入居者と交渉していく必要があります。

3-3. 必要経費を減らす

経費を減らすこともキャッシュフローを増やす上で重要です。

特に不動産投資では管理業務に関しては業者へ外注することが多いです。

リフォーム費用や修繕費、一棟物件の管理では清掃代や電気代、設備の点検費用など、このあたりは業者によって金額に幅が出やすいので、コスト削減のための見直し対象としてまず候補に上がるでしょう。

時間があれば、オーナー自ら実施するなどして経費を抑えることもできます。

4. 「キャッシュフローが大きい=良い物件」とは限らない

不動産の運営には何かとお金がかかるので、キャッシュフローは非常に重要になります。

ですが、キャッシュフローが大きいからといって良い物件であるとは決していえません。

なぜなら、キャッシュフローは「融資の条件」によって大きく左右されるからです。

不動産投資は投資の出口である「売却」によって利益が確定します。

それまでいくらキャッシュフローが得られたとしても、「売却」に失敗しては意味がありません。

物件のキャッシュフローだけを見るのではなく、「将来の売却を考えたときに売却価格を果たして維持できるのか?」もしっかりと見極める必要があります。

まとめ

不動産投資のキャッシュフローについて紹介しました。

不動産投資のキャッシュフローとは「家賃収入」から「経費・ローン返済」を差し引いて残った儲けのことです。

キャッシュフローは不動産の維持・運営において必要不可欠なものですので、必ず覚えておきましょう。

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