クロス取引で株主優待タダでもらえる?株価変動リスクをヘッジする方法

株式投資

株主優待を目当てに株を購入しようと思った時、株価変動リスクが心配になりませんか?

配当や株主優待以上に株価下落による損益が出ると嫌ですよね。

人気が高い株主優待の銘柄ほど、配当権利日にむかって株価が上がり、配当落ち日に下落する傾向があります。

株主優待は欲しいけど、損失は防ぎたい!

そんな時に役に立つのが「クロス取引(つなぎ売り)」です。

クロス取引を利用すると、株価変動リスクを回避することができます。

今回は、クロス取引の方法と注意点をご紹介します。

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1.クロス取引とは

クロス取引とは、株価下落リスクを抑えて株主優待を獲得する方法です。

つなぎ売り」とも呼ばれます。

現物取引の「買い注文」+信用取引の「新規売建注文」を行います。

現物保有している銘柄を、信用取引で売建することにより保有銘柄の株価下落リスクを抑えることができます。

現物取引と信用取引では、同じ枚数同じ株価で発注をする必要があります。

クロス取引を行うには、信用取引口座が必要です。

投資初心者にはハードルが高く感じるかもしれませんが、正しいやり方を理解すればリスクを最小限に株主優待を獲得できます。

2.クロス取引で株主優待をGETする方法

手順①

権利付き最終日(株主優待をうけることができる最終日)までに、株主優待が欲しい株式銘柄の「現物買い」を発注

手順②

約定後、現物取引と同じ枚数・同じ株価で信用取引新規売建注文を発注

同じ株価で信用取引「新規売建注文」が必要
※一般信用取引「短期」なら逆日歩の心配なし!

手順③

権利付最終日の翌日以降に、現物取引の買いで信用取引の売り建玉を「現渡」で決済

現渡とは、信用取引の売り建玉を保有している現物株式を返却することで決済する方法

権利付最終日の寄付前に、「現物取引の買い」と「信用取引の売建」を成行で同時に行い、同価格で約定させることにより、株価変動のリスクがなくなります。

※株価変動リスクゼロのしくみ

    • 株価下落 → 現物株式は損失・信用取引の売建玉は利益
    • 株価上昇 → 現物株式は利益・信用取引の売り建玉は損失

株価が上がっても下がっても利益と損失が相殺されるので、株価変動リスク無し!

つなぎ売りを活用すれば株価変動の影響を防ぎ、賢く優待が手に入るのです。

3.クロス取引を始める前の注意点

株主優待を目的にクロス取引(つなぎ売り)を行うにあたり、下記をあらかじめ理解しておましょう。

  • 信用取引を始めるには、信用取引口座の開設が必要です。信用取引口座は申込み後、最短2日で開設可能です。
  • 現物買いと信用新規売建取は、それぞれ手数料がかかります。現物取引手数料、信用新規売りの取引手数料、貸株料や逆日歩といったコストがかかります。
  • 配当金がある場合、配当落調整金を支払う必要があります。
  • 信用取引で売建できる銘柄は限られており、証券会社によって異なります。取引したい銘柄が信用取引対象か調べておきましょう。
  • 投資者保護基金の対象とはなりません。証券会社が自社の資産と顧客の資産を区別して管理する分別保管、投資者保護基金による保護の対象外です。

4.信用取引の諸経費

4-1.貸株量

信用売りは株を借りて売る取引なので、株を借りた日数分の費用がかかります。

貸株料 = (新規売り金額 × 年利 × 日数) ÷ 365(日)

4-2.逆日歩

制度信用取引を利用した場合、逆日歩がかかる場合があります。

逆日歩は、売建ての残高がふくらみ、株不足となり、売建てのための株券調達が困難になると発生します。

不足分入札形式で機関投資家等から借りて用意します。

その入札により決定された料率を逆日歩(品貸料)といいます。

どの程度不足するかは銘柄によって異なり、多額の逆日歩が発生するリスクがあります。

人気がある株主優待の銘柄ほど、想定外に高額な逆日歩が発生する可能性があります。

逆日歩が発生するかどうかは、残念ながら取引した翌営業日まで分かりません。

一般信用取引では逆日歩は発生しません。
一般信用を選択すれば、逆日歩のリスクはありませんが、在庫が少ないため早い者勝ちとなります。
権利付最終日直前の売建てではなく、早めに優待クロスをしておくと安心です。
しかし、日数が増えることにより貸株料は増加します。証券会社によっては、抽選日を設けている場合があります。一般信用取引できる銘柄の、「売建て可能日」の前営業日の抽選会に申込みできます。

4-3.配当調整金

現物株式の配当金は、源泉税(20.315%)を差し引かれた金額が支払われます。

権利付き最終日の大引け時点でクロス取引(つなぎ売り)をしている場合、

現物については税金が差し引かれた配当金を受取り(配当金の約80%)。

一般信用売建玉については配当相当額(配当金の100%

を支払います。

そのため、配当金の約20%の差額を負担することになります。

5.クロス取引で株主優待を狙う場合のポイント

クロス取引を利用して、株主優待を賢くGETする方法は「優待クロス」とも呼ばれています。

株主優待をたくさんもらっている達人は、クロス取引を上手に利用します。

優待クロスは同じ銘柄を同じ株数で現物株式の買いと、信用取引の売建を同時に取引する手法で株価下落リスクを抑えることはできますが、上記のコストが高くつきそうですね。

株主優待の価値と手数料合計を比較して、損失が出ないよう注意しましょう!

株主優待 現物&信用取引手数料 + 貸株料 + 逆日歩 + 株価調整金

上記のようになればOKです!

楽天証券の場合の手数料(50万円の株式銘柄)

権利付最終日に新規売建注文・翌日に現渡注文を発注した場合

  • 現物買付手数料… 275円(税込)(超割コース)
  • 一般信用売建手数料… 198円(税込)
  • 最短2日分の貸株量… 106円(50万×3.9%×2日÷365日=106)
  • 現渡手数料… 0円
  • 配当調整金… 配当金の約20%

合計すると、579円 + 配当調整金よりも株主優待の価値が高ければ利益となります。

手数料については、一般信用を選択すれば逆日歩が発生しないし、それほど高くないですが、配当金が高い銘柄の場合、配当調整金が嵩みそうですね。

手数料が安くて、取り扱い銘柄数が多い証券会社を選ぶことと、配当金が低い又は無配当で株主優待がある銘柄選ぶことがポイントです!

株主優待がリスクなしに獲得できる一般信用取引で売建できる銘柄は限定されており、数量も少ないので、人気銘柄ほど不足します。

クロス取引(つなぎ売り)をしたい銘柄の 売建可能数量をチェックしておきましょう!

また証券会社によって、各種手数料や取扱銘柄の数量は異なるので、クロス取引に強い業者を選びましょう。

一般信用取引「短期」で売建できる銘柄の探し方

  1. 証券会社の取引画面にログイン
  2. 国内株式 - 信用取引情報 - 一般信用売建銘柄 - 短期信用売建銘柄を検索
  3. 一般信用取引で新規売建注文ができる上限数量を確認

まとめ

  • クロス取引とは、現物株式の買い注文と一般信用取引の売り注文を「同じ値段」で約定させて損益を0円にする手法
  • 株価が上がっても下がっても利益と損失が相殺されるので、株価変動リスク無し!
  • 信用新規売建は貸株料など諸経費、配当金がある場合は配当落調整金を負担しなければならない
  • 一般信用取引なら逆日歩などのコストを抑えられる!
  • 一般信用の短期売建てが品薄な銘柄は売建て可能日以降に早めに優待クロスをしよう

クロス取引は、投資初心者にとってはやや難しく感じますが、ルールやとコストを正しく理解すれば賢く株主優待がもらえる手法です。

損失が発生する可能性が少なく、株価に左右される心配がありません。

各種手数料を考慮しても、それ以上の魅力がある株主優待を探して試してみましょう。

「つなぎ売り」を上手く活用して、投資の幅を広げてみてはいかがでしょうか。

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