経済に興味がある方、株式投資をしている方なら「想定為替レート」という言葉を一度は聞いた事があるのではないでしょうか。
企業の想定為替レートを把握しておくメリットはご存じでしょうか?
企業の想定為替レートを把握しておくと、業績の上方修正、下方修正の可能性をある程度予測することができます。
現在のドル円相場は、円高にも円安にも傾きやすく、ボラティリティの高い状況です。
昨年は、一時は150円を突破したドル円相場も、足元では130円を割り込む水準で推移しています。
米連邦準備理事会(FRB)の利上げペース鈍化の思惑が円安基調を反転させ、日本では日銀が長期金利の変動幅の上限をこれまでの0.25%程度から0.5%程度に変更を公表し、長らく続いた大規模金融緩和が修正されるのではないかという懸念が高まっています。
今後、円高が進んだ場合、企業の想定為替レートは、輸出・輸入企業の業績に大きな影響を与える可能性あります。
円安恩恵の高い輸出企業は業績の下方修正リスクがあり、要注意と言えます。
そこで、今回は特に気をつけたい企業想定レートが高い株式銘柄をピックアップしました。
是非、参考になさって下さい。
※尚、想定為替レートは、年度中に変更される場合があるので、各銘柄の最新情報は、企業の公式ホームページでご確認下さい。
1.想定為替レートとは
為替レートとは、為替市場において異なる通貨が交換される際の交換比率です。
「想定為替レート」とは、輸出入を行う企業などが、事業計画策定や業績見通しを定める際に前提とする為替レートです。
為替相場が大きく変動する場合は、事業年度中でも見直しをすることがあります。
この想定為替レートに基づき各企業は業績予想を発表します。
想定為替レートが、実際の為替レートと乖離すると企業の業績、株価に影響が出てきます。
輸出企業(円安関連銘柄)… 業績の上方修正
輸入企業(円高関連銘柄)… 業績の下方修正
輸出企業(円安関連銘柄)… 業績の下方修正
輸入企業(円高関連銘柄)… 業績の上方修正
実際に円安だった2022年は、輸出企業の業績は良好で、最高益を上げている企業も多数ありました。
逆に輸入が多い紙・パルプ・食品・アパレルなどの輸入企業の株価は右肩下がりの下落チャートが多く見られました。
株式投資をする際に、為替相場の基本であるドル円について、企業が公表している為替レートを把握しておくことはとても重要です。
2.企業の想定為替レートの調べ方
想定為替レートは、各企業の発表する「決算短信」から調べることができます。
各企業のホームページから、決算短信を確認しましょう。
株式投資を行なう上で企業の想定為替レートを把握、業績の上方・下方修正を予想することは非常に重要ですが、ひとつひとつのホームページから調べるとそれなりに手間がかかります。
まずは主要企業の想定為替レート一覧を確認し、保有している銘柄や売買したいと思っている銘柄は、企業のホームページで最新情報をチェックするという方法は良いのではないでしょうか。
3.想定為替レート140円以上の企業は業績の下方修正リスクあり!?
さて、昨年12月末に日銀は長期金利の変動幅の上限をこれまでの0.25%程度から0.5%程度に変更することを公表しました。
長らく続いた大規模金融緩和が修正されるのではないかという思惑から、円は急激に買い戻され、日本株は投げ売られました。
円高株安の「日銀ショック」という事態になりました。
今まで円安恩恵と言われていた輸出関連株、金利上昇に弱い半導体などのハイテク株は、円高方向からも企業の業績下方修正の懸念から、株は投げ売りが続出しました。
主要銘柄の株価が崩れると、日経平均株価など全体相場も崩れます。
現在は急激な円高から反発し、ドル円相場は130円台を挟む状況です。
しかし、各国の中央銀行が金融引き締めを見て、次は日本の番か、日銀黒田総裁の退陣を4月に控え、総裁交代によって緩和修正になるのではないかと、円高リスクが強まっています。
そのため、円高への勢いが高まる可能性も十分あります。
企業のドル円想定為替レートが140円以上の輸出関連企業の場合、現時点では既に下方修正の可能性があり、さらに為替相場が120円台に突入した場合、下方修正リスクが強まります。
もちろん、為替相場との乖離を考慮しても、それを上回る業績をあげていれば問題なく良い決算結果が出て、株価が上昇していくケースもあります。
各企業によって違いはありますが、一般的には、輸出企業には円高はデメリットで、業績下方修正リスクがあるので、想定為替レートを確認しておくことをお勧めします。
4.企業の想定為替レート一覧
では、円高で要注意の企業の想定為替レートを確認しましょう!
ドル円想定為替レート146円~150円の企業
- (8174)日本ガス
- (3416)ピクスタ
- (3880)大王製紙
- (5401)日本製鉄
- (6737)EIZO
- (7600)日本MDM
- (7751)キャノン
- (3659)ネクソン
- (9308)乾汽船
- (6877)OBARA
- (7733)オリンパス
ドル円想定為替レート141~145円
- (3436)SUMCO
- (3895)ハビックス
- (4043)トクヤマ
- (4061)デンカ
- (4114)日本触媒
- (4118)三菱ケミカル
- (4839)WOWOW
- (4902)コニカミノルタ
- (4980)デクセリアルス
- (5017)富士石油
- (5019)出光興産
- (5184)ニチリン
- (5334)日本特殊陶業
- (5405)神戸製鋼
- (5411)JFE
- (5480)日本冶金工業
- (5481)山陽特殊製鋼
- (5706)三井金属鉱業
- (5714)DOWA
- (5741)UACJ
- (6240)ヤマシンフィルタ
- (6302)住友重機械工業
- (6330)東洋エンジニアリング
- (6740)JDI
- (6753)シャープ
- (6755)富士通ゼネラル
- (6869)シスメックス
- (6908)イリソ電子
- (7003)三井E&S
- (8053)住友商事
- (9201)JAL
- (9202)ANA
- (9507)四国電力
- (9532)大阪ガス
- (2395)新日本科学
- (6817)スミダコーポレーション
- (2875)東洋水産
- (5101)横浜ゴム
- (6804)ホシデン
- (9384)内外トランスライン
- (4523)エーザイ
- (6976)太陽誘電
- (9101)日本郵船
- (6737)EIZO
- (3861)王子製紙
- (4042)東ソー
- (6724)エプソン
- (8058)三菱商事
ドル円想定為替レート140円前後
ドル円想定為替レート136~139.99
ドル円想定為替レート135円前後
まとめ
このままドル円相場が下落を続け、円高方向に進んだ場合、想定為替レートが高い上記銘柄の中で、円安メリット銘柄である輸出企業は業績下方修正が出る可能性があります。
決算シーズンの来週は要警戒です!
3月高配当銘柄も配当取りの前に決算発表があるので、慎重な取引を心がけましょう。
急激なドル円相場の変動による、株式市場の暴騰暴落に備え、企業の想定為替レートは、事前に確認しておくと有効です。
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