原油価格は、夏前から上昇が続いており、原油先物価格、石油関連株、原油関連投資信託やETFも上昇傾向が続いています。
ニューヨーク原油市場ではアメリカの原油の貯蔵在庫が減少したことにより、サウジアラビアやロシアなど産油国が減産の発表をしたことによる影響で、需給が引き締まるとの見方が強まった結果、9/27日夜間の取り引きで、原油の先物価格が一時、1バレル=95ドル台まで上昇しました。
その後、9/28からは、利益確定の動きが見られ、現在のWTI原油先物価格は、1バレル=90.77ドルです。
原油価格の上昇は、インフレ圧力を強め、ガソリン価格なども値上がりにより、私たちの暮らしに影響が及ぶ可能性があります。
年末のガソリン価格上昇などにより、生活への影響が日々の報道番組で懸念されていますが、投資面から見るとどうでしょうか?
年末から来年に向けて、原油価格は1バレル=120ドル、150ドルまで上昇するのではないかと、ブル―バーグや米国大手石油会社で予想が出ています。
短期間でそこまで上昇が見込めるのであれば、原油関連商品へ投資をしておけば、資産を増やせる可能性が広がるのかもしれません。
ここから一気に1バレル120ドル以上の原油価格上昇を期待するのであれば、面白いかもしれませんが、これまでの原油価格のレンジ相場や米国、中国の景気減速リスクを考慮すれば、下落の可能性も否めません。
今すぐに原油関連商品に投資するかどうかの意見は分かれると思いますが、ご自身で、「ここから原油価格が上昇するに違いない」と思う時に、タイミングを逃さず投資できるよう、あらかじめ投資手段を調べておくことは有効と思います。
そこで、今回は原油への投資方法をまとめました。
良きタイミングで投資できるよう、参考にして頂ければと思います。
1.原油への投資とは
まずは、原油とはどのような投資商品なのか確認していきましょう。
原油とは、地下から採取した黒い色の加工前の石油です。
原油を精製することにいより、ガソリンや灯油などになります。
原油は、ガソリン、灯油、プラスチック、合成繊維など、様々な用途があります。
原油の産出量が減ったり、世界経済が好調な場合、原油価格は上昇する傾向があります。
逆に、原油産出量が多く、世界経済が不調な場合、原油価格は下落します。
原油関連の投資をする際は、原油の需給やアメリカ、中国などの景気動向に注視する必要があります。
原油価格は産油国の増産や減産の方針、海外の景気動向に左右されやすいので、原油だけに投資するのは危険です。
ポートフォリオの一つとして資産運用に組み入れるのが良いと思われます。
現在は、原油産出国が「減産」を公表していることから、需要過多となり、原油価格が上昇傾向にあります。
アメリカ経済が強いこともプラス要因です。
逆にコロナウィルスが大流行した2020年は、世界経済が減速したため、需要が減り、原油価格は暴落しました。
原油の動きを知ることは、世界経済を知るきっかけにもなりそうですね。
2.原油への投資方法5選
原油に投資する場合、主に次の5つの方法があります。
- ETF(上場投資信託)・ETN(指標連動証券)
- 投資信託
- 原油関連株
- 商品先物
- CFD(差金決済取引)
原油価格といえば、WTI原油が取引量の多い代表的な指標です。
WTIとは「West Texas Intermediate」の略称で、アメリカのテキサスで採掘される原油を示します。
3.原油の先物取引とETFはどっちがいい?
結論からいえば、ETF・ETNがおすすめです。
ETFもETNも、株式市場に上場している投資信託の為、株の売買取引と同様に、ご自宅のパソコンやスマホからも簡単に売買ができます。
原油先物の価格に連動している原油ETFに投資することで原油の先物取引と同じ運用成績が期待できます。
今回、原油への投資方法をまとめるに至ったきっかけは、8月に大阪で開催された資産運用EXPOで、商品先物への投資を強く推奨されたことでした。
先物取引やCFDについて、ざっくりとしか知らなかったのですが、熱心に詳しく教えて頂けました。
先物商品への投資は、確かに予想通りに商品価格が上昇すれば、大きな利益が出そうですが、リスクもかなり高いと感じました。
投機色が強いようにも感じました。
証券会社や保険会社の営業の方は、「必ず得する」といった「断定的判断情報の提供」はされませんが、「一般的に〇〇と言われている」、「〇〇と考えている方が多いようです」という表現を繰り返しで、良い結果を想定した話ばかり強調されることに、私は嫌悪感を感じてしまいます。
先物取引では、最低取引金額が100万円以上かかる取引が多く、初心者がお試しで始めるには、投資額が高額になります。
レバレッジがかかること、手数料が株やETFより高いこともデメリットと感じました。
総合的に考えて、投資初心者が始めるには、先物取引はハードルが高いのではないでしょうか。
レバレッジがかかる、初期投資額が大きい、手数料が高いため、原油CFDや原油先物取引に関しては、ハイリスクハイリターンと捉えておきましょう。
そのため、原油に投資する方法で、リスクが限定される商品を探すことにしました。
少額投資が可能で、レバレッジがかからず、手数料が比較的安い「原油ETF・ETN」がおすすめです。
4.原油ETF・ETNのメリット
- 少額投資が可能
- 上場しているため、株と同様に自由に売買できる
- 手数料が安い
原油ETFも含めてETFは、少額から投資ができるので初心者の方にもおすすめです。
先物取引をするのであれば、原油ETFでは、1万円前後から始められます。
ETFは、相場の流れに応じて、自分のタイミングで、自由に売買できるので、安心です。
逆の動きになってしまった場合も、迅速に売却し損失を限定できます。
ETFは、一般的な投資信託よりも、「信託報酬」などの経費が安いという特徴があります。
投資信託では、1%から3%がの信託報酬が必要になりますが、ETFでは、1%未満がほとんどです。
5.原油ETF・ETNのデメリット
原油ETFの値動きは、原油価格を即座に反映しないというデメリットがあります。
原油価格と原油ETFの価格には、ギャップが生じます。
ETFの運用会社は、WTI原油先物という商品を裏付け資産として購入し、ETFを組成します。
WTI原油先物は「〇月限」という特定の月の原油価格の先物取引になります。
期日が近くなり価格が下がると、有利な時期の原油先物に組み替ます。
原油先物の価格が下落した場合、ETFを構成している原油先物が組み替えされた可能性があり、そこで投資を始めると損失に繋がる可能性があります。
原油ETFを長期保有とすると値下がりする可能性があります。
そのため、原油ETFは、長期保有ではなく、短期、または中期のスイングトレード投資がおすすめです。
6.原油関連ETF・ETN
原油価格に連動する代表的なETFは、下記の4つです。
手数料が安いネット証券で取引をすれば、運用コストを低く抑えることができます。
- 1671の信託報酬:0.935%
- 1690の信託報酬:0.49%
原油ETFは、株と同じように1日に何度でも売買可能です!
原油ETFは、レバレッジ取引ではないため、取引金額以上の損失が出ないので安心です。
ただし、下記2038 NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油 ダブル・ブルETNは、ダブルブル型のため、通常の2倍の動きをします。
原油価格が上昇すると2倍の利益、下落すると2倍の損失につながります。
これらのETF、ETNは、原油価格が上がると利益、下がると損失になりますが、「ベア型ETF、ETN」に投資すると、逆の動きをします。
これから原油価格は下がると思った時は、逆の動きをする原油ベア型のETFに投資すると利益が出ます。
代表的な銘柄は、銘柄コード2039 NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油ベアETNです。
7.代表的なおすすめ石油関連株
WTI原油価格が上昇すると、石油関連銘柄の株価も上昇します。
株式投資は、配当月に権利取りに向かって値上がりする傾向があり、9月の中間配当落ち直後の現在は、押し目の下げが入っている状況です。
下げ止まりの良きタイミングで投資をして、3月の配当月に向けて仕込んだり、12月配当月のINPEXへの投資を検討しても面白いかもしれません。
石油関連株は配当が高めなので、高配当株投資として、銘柄の一つに選ぶことをおすすめです。
まとめ
今回は、原油産出国の減産発表を受け、上昇が続いている「原油」への投資方法をまとめました。
原油先物取引やCFD取引では、レバレッジ効果により、短期で大きな利益が期待できる反面、反対の動きをする場合の損失も大きなもとになります。
手数料の安さ、取引の容易さ、レバレッジをかけずに少額投資ができるという理由から、原油ETやETNへの投資がおすすめです。
また、原油関連株への投資も、配当金が高い銘柄が多いので、タイミングを見て取引すれば、良い結果が得られるかもしれません。
そのため、原油への投資に興味を持っている方は、先物取引ではなくまずは原油ETFの取引から始めてみましょう。
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