株価変動リスクが無い「クロス取引(つなぎ売り)」を利用して株主優待をGETしたいけど、初めての信用取引に不安を感じる方はいらっしゃいませんか?
信用取引では、専用用語が多く現物株と比べて複雑です。
「想像以上に手数料が高くならないかな?」
「逆日歩がかかったらどうしよう?」
と難しい言葉に、最初は戸惑う信用取引。
今回は、信用取引でかかるコストをわかりやすく解説します。
初心者も安心してクロス取引が始められるよう、まずは基本用語を覚えましょう。
1.信用取引に係る専門用語
信用取引では、様々なコストがあり知っておく必要がありますが、信用取引専門用語自体が難しいですよね。
信用取引の専門用語を下記にまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
信用取引
信用取引は、顧客が証券会社に委託保証金を担保として預託し、買付資金または売付証券を証券会社から借りて新規建てを行い、所定の期限内に返済する取引のこと。
新規建可能額
信用取引できる額。
建玉
反対売買されずに残っている未決済ポジション。
空売り
株券等を保有せず(又は保有する株券等を用いず)、借りた株券等により株式等を売ること。
空売りした後、買い返済、又は品渡により取引が完了します。
株価下落時に利益が得られ、株価下落による所有株のヘッジ目的に利用できます。
委託保証金
信用取引を始めるのに必要な保証金のこと。
現金または保有している現物株式を証券会社に差し入れて担保とする。
委託保証金の最低基準は約定代金に対して30%以上かつ30万円以上 が一般的。
委託保証金は、現金のほか上場株式等の有価証券をもって代用できますが、初心者は現金差し入れによる担保を推奨します。
現物株式を担保とした場合は、株価下落により担保価値が下がると委託保証金維持率が追証ラインを割ってしまう可能性があるためです。
委託保証金率
信用取引を行った場合、約定代金に対する顧客が証券会社に差入れた委託保証金の割合のこと。
委託保証金率が30%であれば約定代金の30%以上の保証金が必要となります。
委託保証金維持率
信用取引で損失発生時に、委託保証金から損失や代用有価証券等の値下がり等を差し引いた金額が建株金額に対して一定の率以上を維持する必要があります。
追証(追加保証金)
委託保証金率が委託保証金維持率を下回った場合、翌々営業日の正午までに、委託保証金率を回復させるために差し入れる保証金。
逆日歩(ぎゃくひぶ)
証券金融会社の株が不足した場合に、信用取引で空売りしている人から徴収する上乗せの品貸料。
株を信用取引で買建てをしている場合は、支払われます。
品貸料(しながしりょう)
空売りをしている人が多く、証券金融会社の株が不足した時に、空売りしている人から徴収する上乗せ分の株の品貸料。逆日歩と同じ意味で使われます。
金利
信用取引では、買方金利と売方金利があります。
買方は、証券会社から買付資金を借りるために支払う金利。
売方は、証券会社から株券を借り入れると同時に売却代金を貸し付けるための金利です。
品受(現引)
信用取引では反対売買による返済を行わず、信用買い時に借りた資金を証券会社に入金することで信用取引を手仕舞うこと。
信用で買いした株式をそのまま現物株として保有することができます。
品渡(現渡)
信用売りをしたときに株券の貸付を受けて売建てした株式を、手持ちの株券により返済して売却代金を受け取ること。
証券金融会社(証券金融専門機関)
証券取引所会員の証券会社に対し、信用取引の決済に必要な金銭または有価証券を貸し付ける貸借取引貸付や、公社債貸付、一般貸付業務を行います。
信用取引残高
未返済の買残高(買付資金量)、売残高(売付株券の量)の総称。
取引所によって公表されています。
制度信用取引
取引所が期限(6カ月)や金利等を定めた信用取引。
ネット信用取引では、信用建株の決済期限は決済期限の前営業日となります。
制度信用期日
信用取引の建株を返済する期限。
ネット証券での信用取引では、信用建株の期日は、信用新規建約定日より6ヶ月後の応答日の前営業日。
建株に減資や合併が発表された場合等、信用期日が早まる場合があります。
制度信用銘柄
証券取引所が定める制度信用選定基準を満たした制度信用取引の対象銘柄。品貸料・返済期限等 が一律に決められている銘柄。
一般信用取引
顧客と証券会社の間で、返済期限・金利・品貸料等を自由に設定できる信用取引のこと。
代用有価証券
委託保証金を差し出す際、現金の代わりに代用する有価証券のこと。
代用掛け目
代用有価証券の担保としての評価率のこと。
二階建て
代用有価証券と同じ銘柄を信用取引で新規建てする行為のこと。
信用建玉の時価が下落すると、信用建玉の評価損と代用有価証券の評価減が同時に発生する可能性があります。
証券会社によっては禁止されています。
日々公表銘柄
信用取引における過度な取引防止の為、証券取引所が一定基準に達した株式銘柄の信用残高を日々公表しています。
沈静化しない場合は、空売り禁止、増担保規制等の規制措置がとられます。
2.信用取引にかかる【コスト】を理解しよう
信用取引を行う際は、株式の現物取引には無い様々なコストが発生します。
売買手数料だけを見ると、信用取引は現物取引より割安ですが、売買手数料以外に発生するコスト(費用)を理解しなければなりません。
信用取引にかかる主なコストは、「金利」「貸株料」「逆日歩(品貸料)」「権利処理等手数料」です。
①売買委託手数料
現物取引と同様に発生するのが売買委託手数料です。
現物取引の場合は注文を出すたびに支払いますが、信用取引では新規注文の際に支払わず、保有建玉を決済する際にまとめて支払います。
信用取引の「売り」と「買い」で共通して「売買委託手数料」が発生します。
手数料は証券会社ごとに違い、取引金額が増えると段階的に増えていくのが一般的です。
証券会社ごとに自由に手数料制度を決めることができるので、約定金額ごとに手数料が異なるプランや、1日の手数料が定額で何回も注文を出せるプランなど、売買委託手数料無料など様々なプランがあります。
②管理費
信用新規建の約定日から1カ月を経過すると「買い建て」「売り建て」にかかわらず、建玉毎に対して管理費が発生します。
ネット証券のほ信用取引の場合は、ほとんどが管理費が無料です。
③金利
信用買いで発生する費用としては「信用金利」があります。
また、「権利処理等手数料」を支払う場合もあります。
「権利処理等手数料」は、権利確定日を挟んで「信用買い建玉」を持っていると発生します。
信用買いでは「逆日歩(品貸料)」を受け取れる場合もあります。
信用取引【買い】の場合、証券会社に委託保証金を預け、お金を借りて株を買いますので「金利」が発生することになります。
金利は証券会社によって異なりますが、制度信用の方が低く『年利2.8%』前後、一般信用は『年利3.5%』前後が多いです。
※制度信用取引の金利計算(SMBC日興証券より)
④貸株料
信用売りで発生する費用として「貸株料」があります。
また、信用売りでは「逆日歩(品貸料)」を支払う場合があります。
信用取引【売り】の場合、売るための株を証券会社から借ります。
その株を借りる為の貸出し料が「貸株料」です。
金利と貸株料で比較すると、
信用買いの方がコストが高いですが、信用売りでは、「逆日歩」という恐ろしい費用が発生する可能性があります。
貸株料:信用売りの時に発生する費用
⑤逆日歩(ぎゃくひぶ)
証券会社は、貸す為に株を保有したり、証券金融会社から株を借りています。
信用売り残が買い残を上回ると、貸出す株が不足した場合、保険会社などの機関投資家から株を借りてきます。
この時の貸出料が「逆日歩」です。
逆日歩は、入札によって決定するため、金額が異なります。
株不足が解消されない限り逆日歩は毎日発生します。
また優待クロス人気銘柄で一般信用売り残が無くなり「制度信用取引」をした場合、人気から想像以上の逆日歩がついてしまう場合があります。
逆に「逆日歩」が発生する株式銘柄を信用買いしている場合、「逆日歩」がもらえる場合があります。
※制度信用取引のみ(一般信用取引は対象外)
まとめ
信用取引にには様々な専門用語がありますが、今回は特に重要な信用取引特有のコストについて解説しました。
信用取引の手数料には、「売買手数料」「事務管理費」「金利」「貸株料」などがあります。信用取引は現物取引より売買手数料が割安になります。
証券会社によって手数料や名称が異なります。ご自身の投資スタイルに合った最適なプランを選ぶことでコストを抑えて上手にクロス取引を行うことができます。
クロス取引は、証券会社によってフローが異なるので、主要なネット証券会社での送付方法も併せてチェックしていきましょう!
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