モルガンスタンレー証券のMSCIの新規採用銘柄・除外銘柄に選ばれると、その株価は思わぬ方向へ進みます。
多くの場合は、定期入れ替え日まで下落トレンドとなり、その後も軟調です。
MSCIの入れ替えは5月が最も多く、次いで11月です。
2022年5月のMSCI新規採用はなし、22銘柄が除外となりました。
5月末に向けて、MSCI除外銘柄のほとんどの株価は大きく下がりました。
2022/6/3執筆時点で、定期入れ替え日を通過後の株価がどうなるか予想しながら、MSCI除外銘柄の取引について考察します。
MSCI指数の除外売りで暴落した銘柄
除外宣告を受けてから数か月で、筆者が保有する株銘柄は半値以下となりました。
既に半値になってしまった保有銘柄の株価は、未だにボラティリティの高い動きをしています。
2021年5/13にMSCI銘柄の定期入れ替えを受けて、MSCI指数から除外される22銘柄が発表されました。
しかし、それより前に除外候補として知られていたため、既に除外銘柄の株価は右肩下がりの大暴落です。
5月12日以降、下降トレンドが一旦止まる動きを見せました。
■2022年MSCI除外銘柄
- ベネフィット・ワン<2412>
- コスモス薬品<3349>
- 日野自動車<7205>
- 関西ペイント<4613>
- ローソン<2651>
- ライオン<4912>
- メディパルホールディングス<7459>
- メルカリ<4385>
- 三菱ガス化学<4182>
- 三浦工業<6005>
- オリックス不動産投資法人<8954>
- ポーラ・オルビスホールディングス<4927>
- リンナイ<5947>
- 良品計画<7453>
- 参天製薬<4536>
- 綜合警備保障<2331>
- スタンレー電気<6923>
- 住友ファーマ<4506>
- 大正製薬ホールディングス<4581>
- 東京センチュリー<8439>
- 東洋水産<2875>
- ツルハホールディングス<3391>
株価の値動きについては、後述します。
まずはMSCI指数入れ替えの基本から確認しましょう。
MSCI指数とは
MSCIは、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルの略です。
モルガンスタンレー社が算出・公表する指数の総称をMSCI指数と呼びます。
先進国、新興国等約70カ国の株式市場をカバーしています。
機関投資家や投資信託のベンチマークとして採用されあるため、重要な指標の一つです。
主なMSCIインデックスファンド
- MSCI All Country World Index(ACWI)
- MSCI World Index(先進国の大型株と中型株から構成)
などが人気です。
毎年4回(2月、5月、8月、11月)にMSCIインデックスの組み入れ銘柄が見直されます。
2022年5月は、採用銘柄0,除外銘柄22
5月12日に入れ替え銘柄は発表され、5月31日に入れ替えが行われました。
MSCI除外銘柄の株価が下落する理由としては、機関投資家がMSCIから除外された銘柄をポートフォリオから外すためです。
数か月単位で株式を売却し、それに個人の売りが加わり、大きな下落へと繋がる可能性がる傾向があるのです。
MSCI除外銘柄の株価の推移
MSCI除外となった銘柄の株価の推移を見ていきましょう。
MSCI除外銘柄のうち、アットランダムに8銘柄の直近2か月の株価チャートを選んでみました。
4/20の証券会社予想、5/13正式発表のタイミングで株価は上昇し、5/31はいずれも買戻しで上昇しています。
2か月の株価推移は、横ばいかゆるやかな上昇と銘柄によって異なります。
注目して頂きたいのは、4/20までの値動きです。
チャート外になりますが、4月以前から4/20に向けて、どの銘柄も右肩下がりです!
MSCI除外銘柄の値動きの傾向
- MSCI除外候補になると、下げトレンドとなる。
- 業績が悪い、悪材料を出したMSCI除外銘柄は50%近く下落する場合がある
- 業績が良く増配などをした銘柄も、株価が下落する
- MSCI除外銘柄は、年初来安値更新することが多い
- MSCI除外銘柄は、半年経過後も株価が元の水準に戻らない傾向がある
今回MSCI除外銘柄となった22銘柄の直近6か月の株価チャートをまとめました。
銘柄ごとに差があるものの、予想が発表される一か月ほど前からの下げに関しては共通していると言えるのではないでしょうか。
MSCI除外発表後に株価は上がる!?
正式にMSCI除外銘柄が発表されると、それまで下落し続けた株価が大きく上昇する場合があります。
大手証券会社が事前に行うMSCI除外銘柄予想は、かなり高い確度があります。
ほぼ予想通りに除外されるため、予想後は下落します。
まれに予想に反して除外されない場合も、今季は除外を免れたけど、次回以降に除外懸念が残ります。
大手の証券の予想後、MSCI指数の除外に向けて株価が下落し、正式発表時点では株価が上昇する傾向が見られます。
材料出尽くし買いですね。
今回の場合、4/20に大手証券がMSCI定期入れ替え銘柄の予想を出し、5/13にMSCIが定期入れ替え銘柄を発表、5/31に入れ替えでした。
4/20より前に予想をだしているところもあり、個人がMSCI公式サイトで選定基準を確認して調べることもできるので、実際には4/20時点では既に株価は下落していました。
早期に情報を収集し、「予想で買って、事実で売る」ことができれば利益を出すことができると思われます。
MSCI除外と想定し、空売りを仕掛ける場合は、MSCI発表の前日までにはポジションを手仕舞いを検討しましょう。
特に大きく下がりすぎた除外銘柄は、一旦決済した方が良いかと思われます。
また、実際にMSCI指標入れ替えが行われる5/31に向けて、機関投資家はリバランス売りを行います。
2~3日前にリバランス売りが完了し、リバランス売り完了を起点に、株価は反転し上昇に向かう傾向があります。
今回も5/31当日は、MSCI除外銘柄のほとんどが株価上昇となりました。
MSCI定期入れ替え後、株価上昇は続く!?
MSCI除外当日を通過すると、再び下落トレンドに入る傾向があるので要注意です。
執筆時点(※2022/6/3)では、上げたり下げたり不安定な値動きです。
6月は、CPI発表、利上げなど様々なイベントを控えているので、一般的に株式市場にとっては難しい月と言われています。
株式市場が下げトレンドになると、MSCI除外銘柄は売られやすい軟調な動きが続きになると思われます。
また、日経ETFのリバランスは7月上旬まで行われ、7月末は第1四半期決算が控えています。
6月7月のV字回復は、見込めないと考えるのが妥当と思います。
「一旦上昇に転じることがあっても、長くは続かず、また下がる」を繰り返し、しばらくは下落トレンドが続くのではないかと考えます。
そのため、MSCI除外銘柄を新規売買する場合は、「短期取引」を推奨します。
短期で利確していけば、大きな損を回避することができます。
「下げすぎているから、これから急上昇トレンド!」と考えるのは危険です。
銘柄ごとに違いはありますし、あくまでも予想ですが、MSCI除外銘柄は半年ぐらいは改善が難しいと覚悟しておいた方がいいと思います。
まとめ
- MSCI除外銘柄は、株価が半年以上下落トレンドになることが多い
- MSCI入れ替え後も、株価が軟調な値動きをする場合が多い
- MSCI銘柄は、年初来最安値を更新することが多い
2022年5月のMSCI指標入れ替えが、新規採用0,除外22だったため、暗い話になってしまいました。
今後のMSCI入れ替えでは、日本株の新規採用が増えれば良いと願っています。新規採用の場合は、全く逆の話となりますね。
今後も、MSCI指標の入れ替えには、注目して投稿していきます!
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