利回りを鵜呑みにするな!オーナーチェンジ物件に潜むリスクと注意点

不動産投資

投資物件を探している人であれば、「オーナーチェンジ」という言葉をよく目にすると思います。

オーナーチェンジ物件は「入居者がすでに住んでいる物件のことをいいます。

オーナーチェンジ物件は「購入後すぐに家賃収入を得られる」という大きなメリットがある一方で、オーナーチェンジ物件がゆえに失敗トラブルにつながった例も少なくありません。

今回は「オーナーチェンジ物件」のメリット・デメリットから潜むリスク注意点について解説していきます。

特に単身者向けの中古ワンルームマンションや中古アパートは「オーナーチェンジ物件」であることがほとんどです。

想定外の失敗やトラブルを未然に防ぐためにも、オーナーチェンジ物件の特徴・特性を必ず知っておきましょう。

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1.オーナーチェンジ物件とは?

投資用の物件には、すでに入居者が住んでいる物件も存在します。

このような物件を売買する場合、「入居者は変わらず、所有者だけが変わること」になります。

所有者(オーナー)だけが変わる(チェンジ)物件。

オーナーチェンジ物件」と呼ばれています。

部屋が複数ある一棟物件は1室でも入居者がいれば、「オーナーチェンジ物件」となります。

当然ですが、すでに入居者に部屋を貸していますので、購入には住宅ローンは使えません。

1-1.オーナーチェンジ物件のメリット

オーナーチェンジ物件のメリットは、「購入後すぐに家賃収入が得られる」ことです。

さらに空室物件と違って、入居者を募集する手間もかかりません。

仲介業者への報酬やリフォームの費用も必要ありません。

オーナーチェンジ物件のメリット

  • 購入後すぐに家賃が得られる
  • 入居者募集の手間もなく費用もかからない
  • リフォームやリノベーションもすぐにする必要がない

1-2.オーナーチェンジ物件のデメリット

対して、オーナーチェンジ物件のデメリットは「室内の状況を見ることができない」という点です。

部屋ではすでに入居者が住んでいるので、部屋の傷み具合などは入居者が退去してからでしかチェックすることができません。

退去後に物件の瑕疵(欠陥)や設備の故障がはじめて判明し、思わぬトラブル・出費につながってしまう可能性があります。

入居者についても情報は書類からでしかわかりませんので、「入居者の素性」が見えづらいのも難点です。

オーナーチェンジ物件のデメリット

  • 室内が見れない(室内の状態は入居者が退去するまでわからない)
  • 入居者を選べない(どんな人が入居しているかわかりづらい)

2.知らないと危険!オーナーチェンジ物件に潜むリスク

不動産投資家の方からすれば、イチからリフォームや入居者募集の手間がかかる空室物件よりも、購入後すぐに家賃が入るオーナーチェンジ物件のほうが魅力的に感じることも多いでしょう。

ですが、オーナーチェンジ物件は室内の状況や入居者は書類上でしか確認することができないので、思わぬ失敗・トラブルにつながってしまうことも少なくありません。

ここでは実際にあったオーナーチェンジ物件のよくある失敗やトラブルをご紹介します。

2-1.入居者が「仕込み」の高利回り物件

入居者が「仕込み(サクラ)」で、あたかも「高利回り物件」であるかのように見せている物件です。

仲介業者へ多額の報酬(広告料)を支払い、無理に高い家賃で入居をつけているケースが多いです。

「知り合い」や「関連会社の社員」を販売中だけ入居させ、購入後すぐに退去させるといった悪質なケースもあります。

このような「仕込まれたオーナーチェンジ物件」は相場よりも家賃が高く設定されているため、次の入居募集時には相場家賃へと調整される可能性が非常に高くなります。

「高利回り」という言葉を鵜呑みにして収支計画を立ててしまうと、想定した計画に大きなズレが生じ、「こんなはずではなかった・・・」と後悔することになります。

条件が相場よりも明らかに良すぎる物件は、「仕込み(サクラ)」の可能性もありますので、十分に注意してください。

2-2.長期入居者の物件

中には何十年と長期入居している入居者がいるオーナーチェンジ物件ももちろんあります。

(一般的に入居者の居住期間は単身世帯が2年~4年、ファミリー世帯は4年~6年といわれています。)

長期入居者がいるオーナーチェンジ物件の場合、当時の家賃でずっと入居している可能性があります。

その場合、その入居者が退去してしまうと、次回の募集時に家賃が大きく下がってしまうリスクがあります。

また、長期間の入居によって室内もかなり傷んでいる可能性も考えなければなりません。

運が悪ければ、購入から間もなく多額の原状回復費用を負担しなければならないこともありますので注意しましょう。

2-3.悪質な入居者がいる物件

空室物件の場合、入居申し込みがあった段階でどのような人か審査をすることができます。

しかしオーナーチェンジ物件の場合、すでに入居しているので入居者を選ぶことができません。

・家賃を頻繁に滞納する
・ペット不可なのに隠れてペットを飼っている
・他の入居者とよくトラブル起こす

など、中には悪質な入居者も存在します。

「追い出したらいいのでは?」と思われるかもしれませんが、入居者は法律によって手厚く守られていますので、実際にはそう簡単に追い出すことはできないのです。

入居者の素行不良によるストレスに耐えかねて物件を手放すオーナーも少なくありません。

3.要チェック!オーナーチェンジ物件を購入する際の注意点

3-1.相場家賃を必ず調べる

オーナーチェンジ物件を購入する際は、物件の相場家賃を必ず調べてください。

「表面利回り」の罠に要注意!

不動産投資のポータルサイトなどでは「利回り●●%」と記載されたりしていますが、そのほとんどは「表面利回り」と呼ばれるものです。

表面利回りは「家賃収入」と「物件価格のみで算出されており、維持費などのランニングコストが一切考慮されていません。

オーナーチェンジ物件の場合、

  • 売主の「仕込み(サクラ)」で入居をつける
  • 仲介業者へ多額の報酬を支払い、無理に高い家賃で入居をつける
  • 何十年と前から住んでいる長期入居者

上記から表面利回りを高く見せることが可能です。

つまり、本来は家賃6万円ぐらいが相場の物件なのに、家賃7万円で入居しているように見せかけることも可能だということです。

「高利回り」の言葉に飛びつき、購入後すぐに入居者に退去され、多額の原状回復費用を負担するはめになったあげく、次の募集家賃は想定していた家賃とは大きくかけ離れていた。

という目も当てられないような失敗に陥ることも実際あり得るのです。

オーナーチェンジ物件の利回り計算や収支計画は現況の家賃ではなく、かならず相場家賃でしなければなりません。

相場家賃は下記3社のサイトでおおよそ把握することができます。

■SUUMO
https://suumo.jp/chintai/soba/

■LIFULL HOME’S
https://www.homes.co.jp/chintai/price/

■at home
https://www.athome.co.jp/souba/

空室・オーナーチェンジにかかわらず、相場家賃を調べることは不動産投資において最も重要な作業のひとつです。

物件の購入前には自分で相場家賃を調べるクセをつけておきましょう。

3-2.賃貸借契約書を確認する

オーナーチェンジ物件を購入する際は、賃貸借契約書を確認しましょう。

入居者が「どんな人なのか?」「いつから入居しているのか?」「仕込み(サクラ)」でないか」をできる限り調べてください。

10年以上の長期入居者であれば、退去すれば「修繕費が多額になる」「家賃が下落する」リスクを考えておかなければなりません。

また「家賃が安い築古物件」の場合は「入居者の質」にも要注意です。

入居者はほとんどの場合、自分の収入に見合った家賃の物件に入居します。

誤解を恐れずに言うと、お金に余裕のない人ほど格安の賃貸物件に住み、そういった人ほど部屋の使い方がひどく、トラブルも多い傾向にあります。

3-3.室内の修繕履歴を確認する

室内の修繕履歴など確認できるものについては購入前にしっかりと売主へ確認してください。

オーナーチェンジ物件は室内の現状を確認することができません。

物件の瑕疵(欠陥)を見落とす可能性や室内の設備が思っていたより傷んでいる場合があります。

ただし、中には修繕履歴が不明の物件も多く存在します。

修繕履歴がない物件 = 大きな修繕費用が発生するかもしれない

という点を考慮した上で購入を検討するようにしましょう。

3-4.極端に良い物件は逆に要注意

「安すぎる価格」「高すぎる利回り」など明らかに相場より良すぎる物件は逆に注意が必要です。

物件価格は高ければ、それだけ利回りが低くなります。

反対に物件価格が安ければ、それだけ利回りが高くなります。

物件を売る人の立場からすれば、できるだけ高く売りたいと思うのは当然のことです。

それなのにあえて相場より安く物件を売り出すということは、なんらかの訳アリ物件である可能性が大なのです。

相場より明らかに条件が良すぎる物件はまず疑ってかかってください。

仮にその訳アリの内容があなたにとって許容できるものであれば、特に問題はありません。

ですが、その訳アリが不動産投資に致命的な影響を与える可能性もあります。

まとめ

オーナーチェンジ物件は、購入後にすぐ家賃が入るからといって、その家賃に期待しすぎてはいけません。

収支は現況の家賃ではなく、相場家賃でシミュレーションをするようにしてください。

もちろんそのままずっと入居してくれる可能性もありますが、いずれは退去して家賃が調整される局面が必ずくるからです。

購入後の家賃は“ラッキー”ぐらいに思っておいたほうが精神面でも楽になります。

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